契約の四日後の夜、4階建てのワンルームマンションの一室でKazuはくつろいでいた。
4畳半程度の狭い一室には、まだ小さなカーペットとお粥炊飯器と電話くらいしかものがなかった。カーペットは実家から電車で運んだもので、3畳の大きさで¥4800とかなりの安物である。お粥炊飯器は、以前某雑誌のパズルに答えて手に入れたもので、Kazuはこのパズルを解くのに力を借りた多くの友人たちに、いつかお粥を作って食べさせてやろう、などと思っていた。電話機は買ったはいいが加入権を手に入れて工事が済むまでにはしばらくかかり、まだ使えなかった。
「なんといってもベッドがこないうちは泊まれないな」
Kazuはこうつぶやき、実家へ帰るべく部屋をでた。
外は雨が降っていた。