食品中のトランス脂肪酸が問題視されていることに私は今までまったく無関心でした。以下のようなニュースのヘッドラインを見た際も、別に特に興味を抱きませんでした。
スターバックス、米店舗でトランス脂肪酸使用中止
NY市、トランス脂肪酸の使用禁止へ
米ユニバーサル・スタジオが子供の肥満対策
しかし、先日、商品先物取引に関連してたまたま見ていた大豆関連のサイトにも、トランス脂肪酸への言及があり、ここへきて俄然この問題に興味がわいてきました。大豆は搾油され食用油となりますが、この大豆油にはその構成成分として脂肪酸が含まれ、トランス脂肪酸の問題と関係するようです。なお参考までに日本の大豆用途の約8割が食用油用です(H15年)。
1.ネットで調べて以下のように理解しました。
基本的に大豆油等の植物油にはトランス脂肪酸は含まれておらず、その異性体であるシス型の脂肪酸が含まれている。ところが得られた大豆油等をさらに部分的水素添加という化学処理をすると、ふくまれているシス型の脂肪酸一部がトランス型に異性化し、トランス脂肪酸を含有する大豆油(食用油)となる。
トランス脂肪酸を消費すると、悪玉コレステロールを上昇させ善玉コレステロールを低下させるので、心臓病のリスクが高まると考えられる。
2.ところで、食用油を化学処理すると読んで驚きましたか?
私は約10年前に油脂工場の見学に行った際に初めてこの処理を聞いて、そんな実験室での有機合成で行ったようなことを食用油でもしているのか!と驚いたものです。
油を安定させ、室温でも固形状を維持するため又は液状であっても酸化しにくくするために、一部の食用油の製造においては、水素が添加されます。
この水素添加処理を「硬化」とも呼び、出来た油を硬化油ともいいます。硬化油はマーガリンやショートニングの原料として用いられるようです。
3.正確に理解するためには
ネットで調べていて感じましたが、こういう話は、必ずしも専門家でない人による伝言ゲームの結果のような説明がかなりあるものです(私の説明もそうかもしれません)。
実験結果や調査結果の報告の原典にあたって、なにを材料にどういう方法でどういう結果を得たのか、どういう人を対象にしてどのように比較したのか、等を読むのが一番だと思っています(あるいはそういうことをした専門家から直接学ぶ)。
そこまでやってから紹介すれば、このブログのアクセス数も増えるのかもしれないなぁ。。。。。。無理ですって。
細かい点で気になったこと:
(1)トランス脂肪酸と呼ぶのが普通のようですが、食用油中に含まれているのは、基本的には「トランス脂肪」(トランス脂肪酸がアルコールに結合した化合物)ですよね。トランス脂肪酸を使用しない、というのはトランス脂肪を使用しないということかと思います(多分)。
(2)そもそもトランス脂肪(酸)という言葉があいまいですよね(特許明細書を書くという職業柄そう感じるのかもしれませんが)。トランス型2重結合を有する脂肪酸は多分複数あるのでしょう。どこまでがカバーされるのでしょう。
4.参考リンク